窯場訪問レポート

泥遊舎(稲垣 勲平氏)を訪問して

10月27日10時のお約束で西区福井へ向った。静かな住宅地でお宅の裏には、遊歩道がありその奥には琴似発寒川が流れ、紅葉した山々がとても美しかった。
家の前は、静かな住宅街ですか、裏へ回ったら、作陶の意欲がぐんと増す自然豊かな素敵なところでした。
みんなが電気窯を使用している中、灯油窯をずっと使用しているとのことで、非常に興味を持っていましたし、彼の作品が、還元焼きの自然のやさしい色合いと、白萩の中に辰砂・均窯など還元に適した釉薬の色合いが適度に入りアクセントになっている。この食器のファンも多く窯場を訪ねてきては、いろいろそろえていく人もいるとか。
轆轤回し始めの頃の作品
これまで、何度も試しに焼き、試行錯誤しながら、泥遊窯ならではの独自性のある作品を作り上げてきたからと強く感じました。
窯場に入ると灯油窯・机そして、轆轤が2台。部屋の周りは、ずらっと棚があり、作陶のための道具がきちんと整理されていました。
そこで、いくつかの作品を見せていただきました。
轆轤を回し始めの頃の作品、手ひねり・板作りの皿、ボランティアで指導するためにいろいろ工夫した作品の数々。
作陶のきっかけは、大学時代から岩見沢こぶし焼きにはまり、押入れいっぱいの陶器を集めていたそうです。親には「そんなにいっぱい集めてどうするの」と言われ続けこぶし焼きの素晴らしさに思いは、とどまらなかったようです。
勤務した学校に窯があり、なんとなくやってみようかと独学で見よう見まねではじめたものの、なかなかうまくいかずにいた頃、陶芸を志す、いい仲間の人たちとの出会いがありました。齋藤 征夫先生(会員)・三浦 哲先生(旧会員)・加藤五十和先生(旧会員)・伯谷 巌先生(会員)・鹿内尚先生(会員)から、たくさんの仲間からいろいろ指導を受け、本格的に陶芸の道に入りました。
1985年 北陶会北海道陶芸展 新人賞受賞 
1986年 北陶会北海道陶芸展 札幌市教育長賞受賞
そしてこの年北海道陶芸作家協会に入会しました。受賞した作品をぜひ見たいとお話したところ、すべて人にあげてしまったり、寄贈したりして、現在は自宅には、ないそうです。
  現在は、3kgの粘土で、30cmの高さに引き上げる練習。お互いに25cmまでは、すっと上がるのにあとの5cmがなかなか上がらない。逆三角形の粘土を轆轤の上に載せて、土殺しをしっかりとすること。引き上げるときよりは、絞り上げのときのほうがぐっとあがること。しっかりとブレをなくすこと。ブレを取った後、円錐台の形にしておくと引き上げるとき引き上げやすくなる。ポイントは、いくつもあるようでした。

稲垣さんはぶれないように、上のほうから上げ、だんだんと下のほうを上げていくことで30cmまで上げているようです。次々ともって来る陶芸の本は、20冊を超えていました。土の話、釉薬の話、轆轤の基礎からの勉強。雑誌の中からの知識を吸収し、日々作陶活動を続けています。本の多さで、彼の研究熱心さ、知識の豊かさを知ることができました。
 日ごろは、山歩会に所属し年間35回の行事に自分の体力にあった行事に参加。その仲間も多い。パークゴルフは、まさにプロ。所属するサークルの年間18回の行事は、すべて参加。陶芸・山歩会・パークゴルフたくさんの趣味をこなし、たくさんの仲間たちに囲まれての活動が、陶器の独自性のある作品を生み出しているのだと強く感じました。
最後に「今はね、多趣味な田舎の泥屋陶平ですよ。」と笑い飛ばした、稲垣さんに人間としての大きさを感じ、これからの作陶活動に強い刺激を受けて2時間程度の訪問を終えました。
(文責  梅田 厳章)