窯場訪問レポート

尚山窯を訪問して

11月26日(水)北海道陶芸作家協会会員の鹿内さん(尚山窯 山の手1条6丁目2-25)を訪問しました。
三角山の麓の住宅街の真ん中に尚山窯はありました。
工房に入ると広さ15畳ほどの部屋。大きな棚には、以前道展などに入選した10点ほどの大きな壷がありました。スポンジで型どり、釉薬を貼り付けた作品には、思い入れがあるようで、「これは、道展に落ちたんだよね。口づくりが悪かったのかな。」と苦笑。
机の上には、協会展出展予定の花器でしょうか3点・そして大きなオブジェが並んでいました。
北海道陶芸作家協会平成26年度の共通課題である野幌の粘土を50%混ぜて作ったそうです。「きれいな形は好きでないので」、とひねりが入り、鋭いラインが入っている。「ひねりを入れたり、ちょっとしたラインって難しいですね。」と言うと、「勢いだね。」と話してくれました。
素焼きの終わったオブジェは、すでに模様が入り上薬をぬる直前のように思われました。以前「ブナの木肌はいい。雨にぬれたブナはもっといい。その木肌をなんとか陶芸で表現したい。」と話していました。「完成の域には達していないね。」とまじまじと作品を眺めていました。きっと「ぶなの木をイメージした作品」が協会展に出展されることを期待して楽しみに待つこととしました。
  窯には、すでに作品が入っていました。コーヒーカップ・皿など、残りは、机の上の花器が入るそうです。
奥の棚には、コーヒーカップ・ご飯茶碗などの小物がずらっと並び、どれも見た目よりずっと軽く土のあたたかさの感じられるものばかりでした。「自然の色合いをと考えている。」と言うように、粘土の特徴とそれを引き立たせる釉薬のコラボレーションが素敵でした。

自然味たっぷりの作風は、鹿内さんの多種の趣味にあるのでは、と思いました。鹿内さんは、登山を楽しんで日本の3000m級(21山)の山を15山ほどと、「北海道の100名山」は、91山を登ったそうです。残る9山は、テントを抱え宿泊を伴う山、そして、残雪の頃を登る山だそうです。きっと、100名山制覇も近いことでしょう。
日々地元の三角山をトレーニングとして歩き、最近では、水泳も始めたそうです。「息継ぎができるようになってね。水泳は、いいですよ。休み休み500mぐらい泳いでいるけど、そのうち一気に500mぐらい泳げるようになると思うよ。」とトレーニングを楽しんでいるようでした。。
  心臓に金属のパイプが二本入り、薬を飲みながら、常に心臓を気にしながらも、昨年冬には、クロスカントリーで50㎞走りきったのですから、体力相当なものと感じました。夏は、山を歩き、冬はクロスカントリーで自然の中を駆け抜け、その自然の美しさを体で感じ取り、それが、陶芸の作風に表れているのだなぁと強く感じました。
時には,短期研修の地 常滑の土を使用しているそうです。常滑の土は、鉄分が多く、還元で焼くと鉄の色が出てくる。その土の特徴、自然の美しさを壊さないように釉薬をかけて作品作りをしています。作品の一つ一つに自然の美のこだわりを強く感じました。
陶芸作家協会の会員も年々年を取り、体力的にも難しくなり、会員も減ってきている。若い人たちが、会員になってくれるといいのですが、若い人は、まだ、窯の持っていない人もいて、作品作りが思うようにできない。「窯はいつでも使っていいよ」と言っているのだが、難しいものだね。と陶芸作家協会の行く末を心配しておりました。
帰りに軽くて、自然美の溢れた、黒マット・白マットを部分的にかけたコーヒーカップを奥さんの分もと2個いただきました。
  自然美を素直に表現しようと日夜作陶に励んでいる鹿内さんに大きな作陶意欲をいただいて帰ってきました。ありがとうございました。
なお、鹿内さんの作品・作陶に関しては、会員の作品紹介でご覧ください。

文責  梅田 厳章 >