北海道陶芸作家協会 Hokkaido Ceramic Artists' Association 北海道陶芸作家協会
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2019年06月19日

窯場訪問佐々木長五郎さん

佐々木長五郎さん  2019年5月25日(土)
「野幌時代窯」はJR野幌駅南口より徒歩13分の閑静な住宅街の中にありました。付近には大きなショッピングセンターもありましたが、佐々木さんの窯場周辺は本当に静かなところでした。
 大きなガレージが窯場になっており、シャッターが降りているとここに工房があるとは気づかない佇まいでした。
 工房の中で先ず目に飛び込んできたのは、大きなたたら板を作る機械が置かれており、ずいぶん使われた様子で、佐々木さんの陶芸活動を物語っていました。
工房の中は釉薬を入れた容器などが所狭しと置かれていましたが、自作の棚にきちんと整理されており、佐々木さんの几帳面な人柄が窺えました。
 工房の奥に視線をやると、重そうで大きな土煉機がありました。
 これも窯場の名前のように、時代を感じさせるずいぶん使い込まれた感じが01.jpgしました。この土煉機の使い道について尋ねると、工房の裏庭に案内されると、そこには大きな水槽の様なものが、三つ並んでが置いてありました。中をのぞくと水が張ってあり、この中に作陶で出た粘土を入れて1年ほど寝かしておくそうです。説明によると、再生粘土をつくっているそうで、この再生粘土がものすごく使いやすい粘土に変化するとの事でした。
 佐々木さんは本州の窯業地のように、粘土作りをしていることになり、ここでも佐々木さんのお人柄に触れることが出来ました。
 北海道は寒さのため、窯業はうまくいかないと思っていましたが、独特の工夫と努力で陶芸活動を頑張っていることに、畏敬の念を感じました。
 作陶に行き詰まりと、佐々木さんは必ず的確なヒントやアドバイスもらえるのも、こうした地道な努力のなせる技だと納得しました。
 工房に5月の眩しい光がさしているところで、佐々木さんの陶芸に対する考え方を聞きたくて、いくつか質問してみました。
 ○陶芸はいつごろ始められて、築窯はいつ頃でした。
  ・37年前くらいですね。伯谷陶峰先生に師事しました。始めて3年後に窯を野幌に作りました。
 ○粘土についてこだわりはありますか。
  ・住んでいるところが野幌ですので、野幌の土をよく使います。新築現場で出た粘土をもらいに行ったりします。掘りたては青い色をしています。すぐに酸化して色が変わりますが、耐火温度が低く、1180度くらいですので、逆にこの特性を生かして1250度で焼くと、ぐにゃっとへたって面白い表現が出来ます。
 ○粘土の再生について教えてください。
  ・水槽が3つありまして、作成で失敗した粘土や北海道の粘土やくず粘土を水に溶かして、再生しています。白系、赤系、混合の3種に分けています。
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 ○作品の作るときのイメージはどのようにしていますか。
  ・音楽の力を借りています。特にJAZZが好きなので、ノートを持ってjazz喫茶に行ってスケッチします。聞いているうちに、どんどんイメージがわいてきます。オブジェを作るときに向いていると、自分では思っています。歌謡曲では湯飲みかどんぶりですね。(笑)
 ○地域に何か貢献されていますか。
  ・全然していません。還元焼成をやるときに炎を赤々とさせて、黒い煙を上げて近所から不安がられています。還元は人が寝静まったころにやっています。ひっそりと。
 ○最近はどのようなものを作られていますか。
  ・役に立たないものを作るのが楽しくて、幼稚園児のような発想で粘土と戯れています。
 ○オブジェだと思うのですが、スケッチなどをして計画的に作るのですか。
  ・一応はスケッチがあります。でも、作っているうちにどんどん変っていくことが多いですね。幼稚園の孫がいるのですが、見ているとしっちゃかめっちゃかで、何がどうなっていくかわからない、それが楽しい。私の思考と合っています。孫と精神的に同じですね。仲がいいです。
 ○世界の陶芸事情詳しいと伺っておりますが。
  ・そうではありませんが、世界中の陶芸家の作品の写真は3000枚位あります。イギリスの作家は面白い発想の方が多いですね。アフリカやアメリカなどの方の作品もとても興味深いです。伝統にとらわれない、北海道の作家の方々も個性的で素晴らしいと思います。
 ○北海道陶芸作家協会の今後についてどう思いますか。
  ・例えば、光や音や動きなどと組み合わせたり、鉄や木や皮などを取り入れたり、壁や天井を利用して3次元的に工夫したり、いろんな発想で幅広く取り組みたいですね。新しい会員の方がたくさん入ってきて、さらに幅の広い会になっていくことを祈念しています。03.jpg
  5月の太陽も西に傾いたころ、佐々木さんの陶芸に関する深い想いと広い知識に教えられながら、工房を後にしました。
  ご多忙のところ快く対応していただき、感謝申し上げます。                 (文責 稲垣勲平)
posted by hcaa at 14:18 | 体験レポート

2018年02月20日

陶芸教室訪問記(加賀フジヱ宅を訪問して)

 今回加賀さんに窯場訪問を、お願いした大きな理由は、北海道陶芸作家協会で行われているチャリティーバザールに出展している作品が、どうしてたくさん売れるのか、作品作りの中から見つけたいと思ったからでした。

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 札幌市旭が丘地区の住宅街にある加賀さん宅の教室に入って真っ先に目に入ったのは、ろくろの上にのっている壺でした。「陶芸作家協会展に出す壺なんだよね。」

 実に加賀さんらしい作品で、整った形に見事な彫りの入った作品でした。作品のすべてに彫りが入るのではなく、首・肩・底にバランスよく彫刻されています。図案があり、その図案を作品に映し、彫り込みを入れる時と、位置だけ決めて気の向くままに思い切って彫っていくときがあるとのこと。この作品は後者の方法で彫ったそうですが、何日にも分けて彫りを入れたり、場所によっては削りのかきべら、カンナをいろいろ取り替えたり、削り面の修正をしたり、何度も何度も手を加え、完成したそうです。

 思い切って大胆に削ることによって勢いと、流れの中に調和のとれた作品なるとお話ししてくださいましたが、その思いり大胆にが、私にとっては一番難しいことと思われました。3月までには、これにどのような釉薬がかかり作品が仕上がるのか心待ちにしたいと思っています。

 たくさんの図案集や鎌倉彫の図案なども見せていただきました。たくさんの図案を見ながら、自分の作りたい作品・出来上がり作品を考えながら、楽しむことと遊び心で、作陶意欲が膨らんでくるそうです。

kaga2.jpg 加賀さんにいろいろお話を聞いている中で、「お客さんにとって大きな魅力は、使い勝手の良い器。」だとつくづく実感いたしました。
 主婦感覚で大きさ、高さ、持ちやすさなど使いやすさを追求しているからなのだと思いました。高台は3回に分けて削り、作品の厚さの均等化、重さ、安定感などよく考え吟味して削ったり、実際に使ってみて、中に入るお料理と器の大きさ・釉薬の工夫をしたり、日々研鑽の賜物と感じました。

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 陶芸を楽しみ、自己を高めながら、人生を豊かに生きることを目指している。(北海道陶芸作家協会・ホームページ・作陶の思いより)というように、生活の中に潤いを持たす小さなかわいい作品もたくさんありました。カエル・オタマジャクシ・猫・うさぎ・ネズミ・十二支をかたどった作品には、子ども・若い人たち・主婦・高齢者みんなが「かわいい」と寄ってくる魅力があります。

 そんなエネルギー・パワーがどこから来るのか。知りたいと思いました。
 加賀さんの窯場には、20名をこえる教室の生徒さんがいます。1日に6名ぐらい教室に来て思い思いの作品作りをしています。昨年、電気窯が壊れ、修理不能となったとき、「あと何年できるのだろうか。陶芸も教室もやめようかと」思ったそうです。ご主人の勧めもあり、今年度新たに電気窯を教室に入れました。5月より、すでに20回くらい窯入れをしたといいますので、その作品作りの速さにも驚きました。「生徒さんの分もあるから」と話しておりましたが、日々の作陶活動に、充実ぶりがうかがえます。

kaga4.jpg 月曜日・木曜日には、卓球を楽しみ、体力作りも欠かせません。生活を楽しみながら、体を鍛え意欲を持ち続けています。でも、「最近は大きな壺は、なかなか作れなくなった。出来上がった作品の移動にはご主人のお手伝いが絶対に必要。」とのことでした。作陶活動のエネルギーは、教室を開き生徒さんたちとの会話・生徒さんたちの希望にこたえるべく自らの研鑽、ご主人の後押しがあるからだと強く感じました。

 教室のあちこちには、釉薬の色見本がたくさん置かれていました。いろいろな釉薬の色見本から、白萩の上から黒天文をかけたもの。逆に黒天目の上から白萩をかけた2重がけものなど。
 作陶でのいろいろな技法についても話をきくことができました。
 練り込みの作品作りは、私も経験がありましたので、話が盛り上がりました。私は、基本の粘土に縦に顔料混ぜた色粘土を張り付け、ろくろを回して作品作りをしていました。

 加賀さんは、白の粘土の上に青の顔料を混ぜた青色粘土その上に白の粘土 縦に三層になった粘土を、そのままろくろの上に置き、皿をひいていました。お皿の中間部分に綺麗な線による模様が入り、私にとっは、驚きでした。お皿という作品には、この方法が練り込みの良さが出てくるのだと感じました。是非、これから自分も試してみたいと思いました。

kaga5.jpg 縦に色粘土を入れたり、横に入れたり、方法はいろいろあるのだなぁ取り感じました。斜めに入れると? 半分ずつ混ぜて少し練り込んでから、ろくろをひく?とか、試してみたい方法がいくつか浮かんできました。
 ケヤキ・ムクの葉(電話帳に挟み押し葉に)黒天目で本焼き後、この葉を乗せ、素焼き・本焼きをする。葉脈がきれいな白色で浮き上がってくる。
 葉脈の一本一本手書きしたのだろうか。どうやったのだろうか。不思議に思っていましたが、葉っぱそのものの美しさがそのまま大皿の上で、主張しておりました。

 一つ一つの作品に、思いを込めて、十分すぎるほど手をかけながらも、「作陶を楽しみ、自己を高めながら、人生を豊かに生きることを目指している。」という加賀さんの作陶の原点を感じさせてくださる窯場訪問でした。 
(文責 梅田厳章)

posted by hcaa at 08:03 | 体験レポート

2016年10月27日

泥遊舎(稲垣 勲平氏)を訪問して

/report10_27.jpg10月27日10時のお約束で西区福井へ向った。静かな住宅地でお宅の裏には、遊歩道がありその奥には琴似発寒川が流れ、紅葉した山々がとても美しかった。
家の前は、静かな住宅街ですか、裏へ回ったら、作陶の意欲がぐんと増す自然豊かな素敵なところでした。
みんなが電気窯を使用している中、灯油窯をずっと使用しているとのことで、非常に興味を持っていましたし、彼の作品が、還元焼きの自然のやさしい色合いと、白萩の中に辰砂・均窯など還元に適した釉薬の色合いが適度に入りアクセントになっている。この食器のファンも多く窯場を訪ねてきては、いろいろそろえていく人もいるとか。
轆轤回し始めの頃の作品
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これまで、何度も試しに焼き、試行錯誤しながら、泥遊窯ならではの独自性のある作品を作り上げてきたからと強く感じました。
窯場に入ると灯油窯・机そして、轆轤が2台。部屋の周りは、ずらっと棚があり、作陶のための道具がきちんと整理されていました。
そこで、いくつかの作品を見せていただきました。
轆轤を回し始めの頃の作品、手ひねり・板作りの皿、ボランティアで指導するためにいろいろ工夫した作品の数々。
作陶のきっかけは、大学時代から岩見沢こぶし焼きにはまり、押入れいっぱいの陶器を集めていたそうです。親には「そんなにいっぱい集めてどうするの」と言われ続けこぶし焼きの素晴らしさに思いは、とどまらなかったようです。
勤務した学校に窯があり、なんとなくやってみようかと独学で見よう見まねではじめたものの、なかなかうまくいかずにいた頃、陶芸を志す、いい仲間の人たちとの出会いがありました。齋藤 征夫先生(会員)・三浦 哲先生(旧会員)・加藤五十和先生(旧会員)・伯谷 巌先生(会員)・鹿内尚先生(会員)から、たくさんの仲間からいろいろ指導を受け、本格的に陶芸の道に入りました。
1985年 北陶会北海道陶芸展 新人賞受賞 
1986年 北陶会北海道陶芸展 札幌市教育長賞受賞
そしてこの年北海道陶芸作家協会に入会しました。受賞した作品をぜひ見たいとお話したところ、すべて人にあげてしまったり、寄贈したりして、現在は自宅には、ないそうです。
 現在は、3kgの粘土で、30cmの高さに引き上げる練習。お互いに25cmまでは、すっと上がるのにあとの5cmがなかなか上がらない。逆三角形の粘土を轆轤の上に載せて、土殺しをしっかりとすること。引き上げるときよりは、絞り上げのときのほうがぐっとあがること。しっかりとブレをなくすこと。ブレを取った後、円錐台の形にしておくと引き上げるとき引き上げやすくなる。ポイントは、いくつもあるようでした。

/report10_27_3.jpg稲垣さんはぶれないように、上のほうから上げ、だんだんと下のほうを上げていくことで30cmまで上げているようです。次々ともって来る陶芸の本は、20冊を超えていました。土の話、釉薬の話、轆轤の基礎からの勉強。雑誌の中からの知識を吸収し、日々作陶活動を続けています。本の多さで、彼の研究熱心さ、知識の豊かさを知ることができました。
 日ごろは、山歩会に所属し年間35回の行事に自分の体力にあった行事に参加。その仲間も多い。パークゴルフは、まさにプロ。所属するサークルの年間18回の行事は、すべて参加。陶芸・山歩会・パークゴルフたくさんの趣味をこなし、たくさんの仲間たちに囲まれての活動が、陶器の独自性のある作品を生み出しているのだと強く感じました。
最後に「今はね、多趣味な田舎の泥屋陶平ですよ。」と笑い飛ばした、稲垣さんに人間としての大きさを感じ、これからの作陶活動に強い刺激を受けて2時間程度の訪問を終えました。
                           (文責  梅田 厳章)
posted by hcaa at 00:00 | 体験レポート

2015年10月15日

光窯を訪問して

2015年3月北海道陶芸作家協会展に出展されて、愛澤先生は作品について下記のような文を掲載していました。

「板づくり」に取り組んでみて土から学んだこと

@ 土は、生き物です。それは、作り手と土との呼吸がぴったりと合わないと形にならないからです。
A 土は、生き物です。それを生かすとは、人間の五感をフル回転しなくてはならないから。
B 土は、生き物です。特に大切なことは、目で確かめ、皮膚で確かめてその時でないとできないことがあります。
C 冬は、暖房で管理が大変です。夏の方が自然に乾燥ができていいです。

 いつも、作陶で失敗することは、土を生き物として見ていなかったのでは、と愛澤先生の言葉に深く共感し、一度ゆっくりお話を聞きたい。と思っていました。訪問のお願いをしたところ、快く引き受けてくださいました。
 ちょうど10月15日他の用事もあり、訪問いたしました。
初めは、千歳の市内と思っておりましたが、千歳市内とは、すこし離れた、追分ICの近くの千歳市立東小学校のグラウンドの横にありました。広々とした牧場・畑の中を車で走りながら、周りの景色の雄大さに圧倒されながら、無事着くことができました。
 グラウンドの横には、愛澤先生のギャラリー(愛澤先生のお父様が建てたお家)と愛澤先生の工房(光窯)の2軒のみでした。
 現在は、恵庭市・千歳市内・光窯工房の3箇所で教室を開き、23名の生徒がいます。今年は、特に窯場開設20年ということで、生徒さんたちが20周年記念祭(平成27年9月20日・21日)を開催してくれたそうです。窯場の清掃からギャラリーの整備、そして、展示会。
 20周年記念祭をとおして、いろいろ考えさせられました。と話してくれました。
平成8年退職を機に退職金を叩いて、工房を作ったけど、妻には「ごみばかり作って」といわれ、跡継ぎもいないし・・・。
 今、社会は、車社会で、感動が薄らいで、楽しようとする人がたくさんいる。素晴らしい感動は、五感をフル活動して、取り組んでいる姿から生まれる。そして、それが本来の姿ではないか。物を作る素晴らしさがそこにある。無駄なことではない。
 以前若いおばあちゃんとお孫さん(男の子)が教室にやってきました。お孫さんは、湯飲み茶碗を2つ、おばあちゃんは手びねりで素敵な花びんを作っていました。あとから聞いた話でしたが、この子は、なかなか人と関われず、悩んでいたとのことでした。
土にふれること。そのことが気持ちを安定させ2時間という長時間でも集中して夢中になれる。自然との関わりが人間の本来の姿なんだね。そのことが生命の躍動を支えている。

 そういえば、ご夫婦で教室に来た人もありましたね。60歳をこえる歳なのに、パソコンもやり、釉薬の色見本を作ってくれたり・・・。このご夫婦が息子さんのところへ行くと決めたとき、「教室に通い始めたときは、孫を事故で亡くしたときだった。何もする気力もなく、二人で陶芸を始めた。土と触れることが生きる支えだった。」と話してくれました。
そのとき、陶芸をすることが、意味のないことではない、生きる支えとなることに貢
献しているのだなぁと感じましたよ。
 子どもから大人までの陶芸教室には、小学生から70代の受講生の皆さんが来ています。皆さんは土に触れて、思いの器やオブジェ風の造形体、中には、恐竜、怪獣といった妙技に至るまで巾が広いです。作っている間は面白くて、楽しくて無心の時間のようです。

 この外に夏と冬に親子陶芸の教室があります。はじめて粘土に触れる人達も土と遊び、慣れてくると自然に会話が出たり、制作に夢中になって、お互いに、みよう、みまねの無言のコミュニケーションがなりたっています。できた作品には不思議な力が込められているように思います。この教室は、やり始めてから十数年になりました。楽しんで頂いた人数は1000人は優に越えていると思います。

 今は、ごみの山から宝物を探していますよ。こめた気持ちを入れると生きてくるね。
喜びを感じたら、どんな苦しいことも乗り越えていく力が生まれてくる。自分で自分を鍛える素地を作っている。そして、集中する持続時間で成否がきまり、ここに喜びがあるからやっていける。陶芸は、形のないところから、形作る心の表現だから意味があり、無駄なことではない。

 その後ギャラリーを見せていただきました。どの作品も周りの農地や牧場山の稜線をイメージした作品や人生の節目節目をオブジェで表現した作品が並んでいました。
「20周年は、一つの節目。すべてを忘れて、土に触れることが生きるエネルギーになる。物づくりが今の自分を支えている。」と話してくれました。「あと何年できるかねえ。周りで野菜を育てたり、焼き物を作り、人間として、五感を使う生き方を見出して生きたいと」としみじみと話してくれました。陶芸を通して、生きる基本を学び取ることができました。

(文責  梅田 厳章)


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posted by hcaa at 11:29 | 体験レポート

2014年12月19日

尚山窯を訪問して

11月26日(水)北海道陶芸作家協会会員の鹿内さん(尚山窯 山の手1条6丁目2-25)を訪問しました。
 三角山の麓の住宅街の真ん中に尚山窯はありました。
 工房に入ると広さ15畳ほどの部屋。大きな棚には、以前道展などに入選した10点ほどの大きな壷がありました。スポンジで型どり、釉薬を貼り付けた作品には、思い入れがあるようで、「これは、道展に落ちたんだよね。口づくりが悪かったのかな。」と苦笑。
机の上には、協会展出展予定の花器でしょうか3点・そして大きなオブジェが並んでいました。
北海道陶芸作家協会平成26年度の共通課題である野幌の粘土を50%混ぜて作ったそうです。「きれいな形は好きでないので」、とひねりが入り、鋭いラインが入っている。「ひねりを入れたり、ちょっとしたラインって難しいですね。」と言うと、「勢いだね。」と話してくれました。
 素焼きの終わったオブジェは、すでに模様が入り上薬をぬる直前のように思われました。以前「ブナの木肌はいい。雨にぬれたブナはもっといい。その木肌をなんとか陶芸で表現したい。」と話していました。「完成の域には達していないね。」とまじまじと作品を眺めていました。きっと「ぶなの木をイメージした作品」が協会展に出展されることを期待して楽しみに待つこととしました。
 窯には、すでに作品が入っていました。コーヒーカップ・皿など、残りは、机の上の花器が入るそうです。
奥の棚には、コーヒーカップ・ご飯茶碗などの小物がずらっと並び、どれも見た目よりずっと軽く土のあたたかさの感じられるものばかりでした。「自然の色合いをと考えている。」と言うように、粘土の特徴とそれを引き立たせる釉薬のコラボレーションが素敵でした。

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自然味たっぷりの作風は、鹿内さんの多種の趣味にあるのでは、と思いました。鹿内さんは、登山を楽しんで日本の3000m級(21山)の山を15山ほどと、「北海道の100名山」は、91山を登ったそうです。残る9山は、テントを抱え宿泊を伴う山、そして、残雪の頃を登る山だそうです。きっと、100名山制覇も近いことでしょう。
日々地元の三角山をトレーニングとして歩き、最近では、水泳も始めたそうです。「息継ぎができるようになってね。水泳は、いいですよ。休み休み500mぐらい泳いでいるけど、そのうち一気に500mぐらい泳げるようになると思うよ。」とトレーニングを楽しんでいるようでした。。
 心臓に金属のパイプが二本入り、薬を飲みながら、常に心臓を気にしながらも、昨年冬には、クロスカントリーで50q走りきったのですから、体力相当なものと感じました。夏は、山を歩き、冬はクロスカントリーで自然の中を駆け抜け、その自然の美しさを体で感じ取り、それが、陶芸の作風に表れているのだなぁと強く感じました。
時には,短期研修の地 常滑の土を使用しているそうです。常滑の土は、鉄分が多く、還元で焼くと鉄の色が出てくる。その土の特徴、自然の美しさを壊さないように釉薬をかけて作品作りをしています。作品の一つ一つに自然の美のこだわりを強く感じました。
陶芸作家協会の会員も年々年を取り、体力的にも難しくなり、会員も減ってきている。若い人たちが、会員になってくれるといいのですが、若い人は、まだ、窯の持っていない人もいて、作品作りが思うようにできない。「窯はいつでも使っていいよ」と言っているのだが、難しいものだね。と陶芸作家協会の行く末を心配しておりました。
帰りに軽くて、自然美の溢れた、黒マット・白マットを部分的にかけたコーヒーカップを奥さんの分もと2個いただきました。
 自然美を素直に表現しようと日夜作陶に励んでいる鹿内さんに大きな作陶意欲をいただいて帰ってきました。ありがとうございました。
なお、鹿内さんの作品・作陶に関しては、会員の作品紹介でご覧ください。

文責  梅田 厳章

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posted by hcaa at 13:10 | 体験レポート
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